第9話

「学内公演」に光明を見出した演劇部員たちは、準備に取り掛かります。いろんな感染対策が必要になります。そして公演の実現には自分たちの情熱だけでは駄目なんです。非常事態宣言など各地の警戒レベル、部活であれば学校の判断や保護者の同意、今まで気にしていなかった事が公演を行うために必要になるのは面倒です。でも本来、学校や保護者の理解があって公演が出来ているんだと改めて認識するのではないでしょうか。
この物語を書き撮影したのは昨年末でした。その時点で可能と思われる上演方法を考えました。劇中で部長が配布している「公演計画書」です。


これを書いている現在、静岡では緊急事態宣言の対象県にはなっていませんが、変異種が確認され全国ニュースになったことで県独自の警戒レベルは上がり益々公演はやりにくくなっています。(この先の別公演のための)稽古も回数を控えながら様子見している状態です。とにかく気をつけながら前を向いて進むしかないな、と思います。
この経験の中から、自分たちが何でそこまでして表現をしたい(舞台をやりたい)のか?考える、あるいは無意識にでも感じているのではないでしょうか。




  


2021年01月22日 Posted by 劇団かいぞく船 at 18:23Comments(0)

第8話

一年生部員の紗由里のお父さんに(コロナ)陽性反応が出て、紗由里も陽性反応。濃厚接触者として演劇部員たちも検査したが他の部員たちは陰性。しかし、地区大会への参加は辞退することに。学校には自粛警察から「休校にしろ!」という苦情が(多分匿名で)。日本人はこういう時誰かに責任を負ってほしくて弱い立場の人に背負わせますよね。似たような苦労をした人たちいると思います。そうなっちゃったら何もできなくなっちゃいます。それでも彼女たちが進む道を探した時「学内公演」という可能性に行き当たりました。

この物語を作っている実際の学生たちも大っぴらに公演がしにくくなっていました(だからこの企画を始めたということもありますが)。物語を作っていく最中も彼女たちと意見交換しながら進めていきました。実は、最終的に物語中の演劇部が公演をどういう形で全うしようとするか?の話し合いの際、私は「無観客で映像配信という手段を取る」案を提案したのです。そしてみんなに意見を求めたところ、怜美役の役者が「怜美はやっぱり少なくてもいいから観客を入れての公演を目指すと思う」と言われました。そうだよな。
ということで、朱雀学園高校演劇部は「学内公演」の実現に向けて進んでいきます。


  


2021年01月11日 Posted by 劇団かいぞく船 at 03:35Comments(0)

第7話

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
かなり開いてしまいましたが、年内に第8話まで公開でき、最終第10話までの撮影も終わりました。遅れてしまいましたが報告をしていきます。

第7話から1シーン1カットに拘らず撮影スタッフを加えての撮影となりました。そして、季節も秋になり制服は冬服です。
文化祭が中止になったことから少しすれ違っていた怜美と未来ですが、気持ちを切り替えて秋の地区大会に臨みます。しかし地区大会は無観客公演。それでも公演の稽古を進めていくのですが、部員の一人が部活に来られなくなってしまいます。
実際いつ誰が感染するかわからない情勢になっていたので避けて通れないなと思い、物語にも反映させました。

実際の高校演劇の現場では、半分倉庫と化した「部室」と実際に立ち稽古するための「教室」がわかれている事が多いです。そんなわけで、今回もちょっとしたミーティングができる「部室」と立ち稽古できる「選択教室」に分けてあります。

部室は「喫茶ペーパームーン」で



選択教室は「旧アソカ幼稚園」で撮影しました。


  


2021年01月07日 Posted by 劇団かいぞく船 at 22:53Comments(0)

アンケートの集計

実はアンケート数が集まっておらず、現時点で集計しても有効ではないと思われるのと、現状はまだ収束には時間がかかりそうで、アンケート項目も対応できていない気がしており、扱いをどうすればよいか悩んでおります。
とはいえ、協力していただいた方々もいらっしゃるので、その中でQ5~7の記述欄に書き込まれた意見を以下に記載しておこうと思います。
ご協力ありがとうございました。

Q5:今後、「新しい公演形態」としてどのような形が考えられると思いますか?
・屋外、オンライン、バーチャル空間。
・配信。でも結局は「生」に戻ると思うので一時的かと

Q6:公演中止、延期などの現状に対して言いたいことがあれば教えてください。
・準備に尽力された方たちの無念は観客側の残念よりも深刻だと思います。どんな形でもいいので生き残ってください。
・少々の見切り発車はかまわないと個人的には思います。
・今までの形でそのまま公演するのが難しいのは、仕方なかったと思う。ただ、私はちょうど子育て期に入って、公演そのものに行きづらかったところ、オンラインで講演を聴けたり、家で家事の合間に観れるものがあったり、逆に足を運ばなくても鑑賞できる機会が増えたことがとても良かった。

Q7:「D・I・O」の怜美と未来にアドバイス(公演方法など)があれば教えてください。
・今まで主に舞台での表現をしてきたアーティストの方々が、舞台から出て、本気で屋外や、映像や、様々なメディアを活かして作品を作ってくれていることは、とても楽しみでわくわくします。これからも楽しみにしています。
  


2020年12月04日 Posted by 劇団かいぞく船 at 22:22Comments(0)

撮影再開

今月から稽古再開、先週末から撮影再開しました。

季節も移りかわって衣替えです。


今回から後輩部員たちも加わり、賑やかな撮影となりました。




第6話までは「1シーン・1カット」ルールでしたが、第7話以降は1カットにこだわらず専門の映像スタッフにも加わってもらってます。どんな映像が出来るか楽しみですね。


さてちょうど今の季節、高校演劇は各地で公演が行われ、大会では「DVD審査」「無観客公演」「事前申請・客席人数制限」など苦渋の対策をしながら開催しているようです。
ちなみに静岡では10・11月に行われる地区大会は「客席人数制限」、11月の静岡県大会では「無観客公演」のようです。
無観客公演は「公演」と呼べるのか? と言われれば辛いです。

でも、嵐も無観客でやりますよね。「こんな世の中なのに?」って「こんな世の中だから」なんじゃないでしょうか。何だか同じような気がします。
延期すれば?って、来年では出来ないのです。来年はもう嵐ではなかったり、高校生でなかったり、演劇部員でなかったりするのです。
中止にすれば?って、無観客でも、やらないと終わった気にならないのです。形としては解散や卒業になっても、卒業した気にならないのです。
だから、不本意ながら「今やれることを今やる」のです。(もちろん「花火使うよ」とか事前に言うべきだったかもですが)

お話はまだまだ続きます。
  


2020年10月26日 Posted by 劇団かいぞく船 at 22:27Comments(0)

第6話

第6話の撮影場所は某ビルの屋上でした。
すれ違っていた二人がもう一度仲直り(?)する場所はどこだろう?と考えた時、やはり校舎の屋上かな、と。知り合いに聞いて回って、友人の住んでいるビルの屋上を借りました。
この日は天気が良く、熱中症の危険もあったので午前中で撮影を終えようと臨みましたが、やはり暑かった。隙があると日陰に逃げながらの撮影でした。しかし天気が良すぎたので、チラシやサイトに使う写真も撮ってしまおう、と急遽スタッフのスマホで写真撮影。思った以上にいい絵が撮れました。

Lineをもらった怜美が未来を屋上に誘います。ここで、怜美は自分の気持ちを整理した結果を語ります。演劇の可能性について。それに応えるように未来は芸術の可能性について語ります。コロナ禍の中、演劇や芸術は不要不急のものというレッテルを貼られがちでした。きっと今までも、生活するのに四苦八苦している時代は芸術は後回しになることが多かったと思います。でも、芸術は今も生き残っています。それはきっと芸術が人間にとって必要不可欠なものであるから、なんじゃないだろうか。このお話は、そんな仮説に基づいてたどり着いた一つの解釈です。

そして、第7話以降も作っていきます。ここからは「1シーン、1カット」「無編集」という縛りを解こうと思います。また雰囲気の違う動画作品になるかと思いますので、どうぞご期待ください。

  


2020年10月12日 Posted by 劇団かいぞく船 at 17:55Comments(0)

第5話

第5話の撮影場所は「LIVEHOUSE UHU」。
設定に合わせてライブハウスの客席部分は「未来の部屋」、ステージ部分は「未来の父の部屋」、楽屋は「怜美の部屋」として撮影しました。無茶やってる様に見えますが、普段の舞台では舞台上にこの三部屋同時に設定することも普通にやるので、そんな見立てで。(と言ってそこここにライブハウス感が満載ですけどね)

ストーリーは、部活を休んだ怜美に未来がLineを送るという話。そこで自分の感じている事、考えている事を送ります。受け取った怜美ももやもやした気持ちを抱えながら悩んでいます。二人の複雑な表情が画質の悪い映像からも伝わるでしょうか。

学校が終わってから、夜のライブのリハーサルが始まる前の合間に急いで撮影したため確認を怠り、写真立てにカメラが映り込んでたのは見なかったことに。UHUのボスに「未来の父」という役を無理矢理振ってしまいましたが、娘に怒られる父役、BGMとしてのギターともにこのシーンに馴染んでいますね。ありがとう、ボス。
  


2020年10月12日 Posted by 劇団かいぞく船 at 15:50Comments(0)

第4話

第4話の撮影場所は学内という事で再び「泊まれる純喫茶ヒトヤ堂」。
この階段が古い校舎を思い浮かべませんか?前回同様この階段の踊り場にはエキストラの「階段JK」がいます。学生に聞くと、やはり踊り場にはおしゃべりで溜まるらしいです。

部活を休んでしまった怜美を心配する未来と鈴花。ここにOBの真由子がやってきます。お話としては第3話でイベントの手伝いを頼まれた真由子がそのイベントのチラシを演劇部に持ってくるという設定です。真由子と未来の会話に出てくる「未来が演劇部に入った理由」は戯曲「放課後のおと」に書かれているので興味のある方はそちらもお読みいただけるとうれしいです。http://garan-garan.com/drama.html

真由子が階段上りながら「何、それ?」って言いますけど、ここ手振り付けた方が良かったなと後で思いました。何の話かというと「フェイスシールド」ですね。フェイスシールドした未来とマスクの真由子の会話は、真由子の表情見にくいんですけど、ニュアンスはわかってもらえると思います。カメラがフラフラしてるのが若干気になりますが、階段の途中でかなり不安定な姿勢でカメラ構えてたからです。すいません。
最後に鈴花が出てくるのはロッカー使いたかったからです。ここも学校っぽいですよね。この後も学内シーンにヒトヤ堂は登場するのか? お楽しみに。



  


2020年10月05日 Posted by 劇団かいぞく船 at 15:05Comments(0)

第2話台本抜粋

「動画を投稿して」と募集かけたはいいが「そう簡単に本も書けんよ」という声もあります。
そこで、第2話の台本の一部を下記に置いておきます。実際の第2話では2分20秒以上かかってますのでどこかカットするなど自由に使って投稿してください。
・名前を変える。男二人の会話に変える。
・3~4人の会話として再構築する。
・演劇部じゃなくて吹奏楽部にして台詞を一部変える。あるいは社会人劇団に変える。
など皆さんの実情に合わせる形で、手を加えていただいて構いません。
勿論、オリジナルの台本で投稿いただいてもOKです。
また、もし「台本提供」していただける方がいらっしゃいましたら、メールで送っていただけるとありがたいです。
諸々よろしくお願いします。


<第2話>
未来 今回は諦めるしかないか。
怜美 私は嫌だ。せっかく作った作品を諦めろって言うの?
未来 地区大会でもやる作品だから無駄にはならないでしょ。
怜美 地区大会だって延期か中止って話が出てる。延期って一体いつできるって言うの?
未来 「いつ」なんて今は誰も言えないよ。
怜美 だったら私たちで決めればいい。
未来 無茶言わないでよ。
怜美 「演劇は観客がいて完結する」。去年の地区大会の後、先輩が言ってた。私たちの事よく知らない人もたくさん見に来てる中で公演して、その知らない人から「すっごいよくわかる」って共感してもらって先輩が感動してた。
未来 うん。
怜美 せっかく作ったんなら舞台に乗せたいじゃん。観てもらいたいじゃん。
未来 だから、それが出来ないから稽古だけでもしていこうって。
怜美 いつか上演できる時まで?
未来 そうだよ。
怜美 半年後か、一年後かわからないけど?
未来 そう、だけど・・
怜美 1年経ったら私たちもう引退だよ。
未来 ・・仕方ないよ。
怜美 仕方ないよじゃないよ。
未来 だって仕方ないものは仕方ないじゃん。
怜美 ・・・
未来 もしやるにしたって、先生たちを説得できなきゃダメだし。
怜美 好きだから、やりたいんだよ。
未来 それじゃ理由にならないよ。
怜美 好きに理由なんかない。未来は好きじゃないの?
未来 え?
怜美 未来は演劇が好きじゃないの?
未来 ・・好きだけど
怜美 じゃあ、わかるでしょ。稽古重ねてうまくなってくけど、本番の舞台に乗るとそれが飛躍的に伸びたり。客席と舞台が同じ空気を呼吸し始めて、劇場にいるみんなの息がピタッと合う瞬間とか。
未来 ・・・
怜美 自分たちが中心になって一番思い切り部活できる時期に、公演が出来ないなんて・・・。
未来 ・・・
怜美 悔しいよ・・
未来 怜美・・・

   怜美は部室を出ていく。


  


2020年10月04日 Posted by 劇団かいぞく船 at 18:55Comments(0)

第3話

第3話の撮影場所は「スノドカフェ七間町」。
コロナ禍の中、8月からリニューアルしたばかりのスノドカフェで撮影させてもらいました。新しくできた座敷スペースを早速使っちゃいました(後で見返したら、部屋の額縁に映り込んでるのに気づき、ショック)。店長の柚木さんにもご出演頂きました。台詞もお渡ししましたら「普段、僕こんなこと言ってるよね」という反応でしたので、閉店後ほとんど練習することなく撮影させて頂きました。お店はしばらく10:00~18:00だそうです。
http://sndcafe.net/
感染対策として、ここではアクリル板を設置しました。店内にアクリル板はアリだが、個人宅にあるか?とは思いましたが、かと言ってマスクか?と。不自然とも思いましたが第1話でも道端にアクリル板立ってましたし、今の時期はそういうこともあるよね、と見ていただければ。

高校三年生役の二人はリアルに高校三年生で、リアルに受験勉強もあるのでとりあえずこの日だけの出演ということで親からOKもらって参加。撮影の合間にスタッフの大学生や兄役に勉強教えてもらってました(勉強教えてもらえるなら、また撮影来ればいいよね)。
高校演劇部の多くが例年6・7月に公演を行い、これが「三年生の引退公演」となることが多いです。今年はそれが出来なかったという話をたくさん聞きました(これを読んでいまだにくすぶってる人がいたら勉強の合間に動画撮って投稿してください)。
大学生もリモート授業ばかりで、いまだに大学構内に足を踏み入れていないという話も聞きます。大学生OB役の二人も大学は県外なのに、県内にいたので今回出演をお願いしました。あずみ役は撮影後、大学のある関西へ(設定では東京の大学ですけど)。真由子役は、まだ静岡にいる・・(設定では地元大学生ですが、実際は関東の大学生です)。

このシーンはメインの高校生の話と少し外れてOBたちのお話しです。テーマ的には「卒業公演が出来なかった三年生」の話にするところですが、結果的に「東京と地方」という話の方が深くなってます。今回の事をキッカケに「いろんなものが集中する東京」に疑問が生じていく時代なのかもしれませんね。
  


2020年10月03日 Posted by 劇団かいぞく船 at 00:14Comments(0)